「温泉欠乏症候群」この病名は医師である山口貴也が長年の温泉通いの末に気が付いた現象から付けられました。
ふと温泉に行きたいと思い何か仕事の都合があると温泉に行くという事をして来ました。なぜこれ程までに温泉に行きたく成るのか不思議でした。行く先々で条件は異なります。泉質も違えば利用方法も異なります。それでもやはり行きたくなる。病気では無いかと思う節もありましたが、矢張りそうだったのです。
良く人が湯治で訪れる様な温泉に行くと「ここに来ると症状が軽くなる。」という話を良く聞きました。だから年に何度か来るのだと。これらは身体的な疾患の話でしたが、私は主に身体的な理由ではなく精神的な理由だっと思います。言わば温泉中毒。手が震える事は有りませんでしたが、心が戦慄いていたのでしょう。
温泉の効能については行く先々で書いてあったり、書籍で見て知ってはいましたがそこまでは考える事がありませんでした。私にとっての最良の温泉は白い温泉でしたからあまり泉質による違いは考えていませんでした。
折しも東日本大震災が起こり、その後放射性物質の飛散が人々の関心が集まっていた頃に虫に刺され長期間足が腫れた事がありました。塗り薬、漢方、鍼、ホメオパシー等を使いましたが症状は軽くなるも無くなりはしませんでした。まあ温泉に行けば良くなるだろうと思っていましたが、様々な温泉に入ると一時的に悪くなることと良くなる事がある事に気がつきました。この頃から本当に温泉の効能というのは泉質によって違う、ならば時と場合によって違う温泉に入った方が良いのではないかと考える様になりました。
たまたま川嶋朗先生の放射線ホルミシスに関する講演を聞く事があり、ラドン泉に行ってみようと思い行きました。一発で足の腫れが治りそれまで数ヶ月の体調不良が消え去りました。入浴料五百円。それまでに私が使った金額がバカの様です。
この時に漸く温泉の効能というのが得心できたのです。それからも温泉でのフィールドワークを重ね多くの方のお話を聞き温泉の効果は身体的にも精神的にも効果が出る事を確認し、また来ざるを得ないと思う事を温泉中毒症としようと考え始めましたが、中毒という言葉が社会的に使用しづらい状況を鑑み温泉欠乏症候群と名付けました。
良く病気を発見したとか言いますが、私は発見したのではなくその様な事象がある事に気が付いて名前を付けてしまったと考えています。
コロンブスがアメリカを発見したと言いますが、そこには先住民がいました。西洋人が初めて行ったと言われる事もありますがコロンブスより前にニューファンドランドにグリーンランドから渡った歴史が残されています。私はコロンブスの様に恥ずかしい人間にはなりたくないので、あくまでもそれまで気がついていても敢えて言及される事がなかった事を言おうとしたに過ぎません。
その理由はこれだけ素晴らしい資源がこの国にはたくさんあるにも関わらず有効利用がされていないからです。多くの人にとり温泉はリラックスする場という認識です。多様な泉質がある事は知られていますがその違いに対する理解も十分とは言えません。私の足の様にその時の体調によって合う合わないもあるのです。温泉に適応症が表示されていますがそれ以外に効かないという訳ではありません。どんな時にどの温泉にどう入ると最も効果的な可能性が高いかを知ればもっと温泉の有効性が理解され利用されるのではないかと考えています。私は東洋医学の体質分類を今回使いましたがこれは選択の仕方の一つです。他にも良い方法があるでしょう。
普段通われている温泉に入り泉友とお話をしそれで体調が良ければ無理をして違う温泉に行く必要はありません。それは素晴らしい事だからです。それでもいまいち体調が悪いや、次の休みに温泉に行こうという時に体質や季節による選択の一助に当サイトがなり温泉と自分の力で体調不良が良くなればそれ以上に良い事はありません。
多くの温泉地では施設の老朽化や人口減少などの問題が起き施設の閉鎖が続いています。またならばと安易な西洋的や資源の枯渇が危ぶまれる様な高級路線の施設ができ古くからの利用者が占め出される事態も起きています。その地域の温泉はそれまでその地域の人に支えられ存続して来たのにその事を無かった事の様な振る舞いには目も当てられません。その様な現状に対して温泉を求めて止まない人がまとまる事で出来る事があるのではないかと考え、恥ずかしながら敢えて『温泉欠乏症候群』を上梓させて頂く事で令和八年六月三十日に公表を致しました。
温泉好きの温泉好きによる温泉好きの為の持続可能な温泉施設の有効利用を考える会として私と親交のある温泉欠乏症候群の方に声を掛けさせて頂き、賛同を頂き同日温泉欠乏症候群友の会を発足させました。
会の趣旨に賛意を頂き、ご協力を頂ければ幸甚に存じます。
一言で言えば「温泉でもっと病院に行かない人を増やそう」です。
温泉欠乏症候群患者第一号
山口醫院 院長
山口貴也